ここ最近、株式会社刀や森岡毅氏を巡り、さまざまな批判が飛び交っています。
- 「巨額の赤字は失敗だ」
- 「親族企業への資金流出ではないか」
- 「USJの成功も森岡氏だけの手柄じゃない」
- 「西武園ゆうえんちも丸亀製麺も失敗だ」
こうした声を目にするたび、私は強く思うのです。
批判する人たちは、まずマーケティングの本質を学ぶ必要がある。
そして、その上で森岡氏や刀が何をしてきたのかを正しく理解するべきだ。
今回の記事では、この問題を徹底的に整理し、私自身の考えをお伝えします。
赤字は失敗ではなく、先行投資である
刀は2024年度に約24億円の赤字を計上しました。たしかに数字だけを見れば大赤字です。
しかし、それをもって即座に「失敗だ」と決めつけるのは短絡的すぎます。
マーケティングやビジネスの世界では、未来の利益を生むための先行投資という概念があります。
刀が今取り組んでいるのは、
- イマーシブ・フォート東京
- ジャングリア沖縄
など、前例のない大型リアル事業です。
これは単にテーマパークを作る話ではありません。
- 日本の観光立国戦略
- 地方創生
- コンテンツ産業の未来
にまで影響を及ぼす壮大な挑戦です。
もちろん、将来黒字化できなければ問題です。しかし 「単年の赤字」だけを切り取って批判するのは、経営もマーケティングも理解していない証拠だと、私は考えます。
ファミリー企業への資金流出問題について
今回最も大きな批判の一つが、
「刀から森岡氏の親族企業にお金が流れているのではないか」
という疑念です。
NewsPicksをはじめ複数のメディアが報じたのは、
- クールジャパン機構からの約80億円の出資の一部が、
- 森岡氏の個人会社「森岡マーケティング研究所」へ流れているのではないか、
という問題です。
刀の公式見解
刀はこれを完全に否定しています。
「公的資金が個人や親族法人に不正に流用された事実は一切ない。
支払いは正当な業務委託であり、成果に対する正規の報酬である。」
私の考え
私もニュースを読んだ時、一瞬「大丈夫か?」と思いました。しかしよく調べてみると、実態はこうです。
- 森岡マーケティング研究所に外注していたのは事実。
- 森岡毅さんほどの人材なら、
- 年間数億円規模の報酬は業界的に妥当。
- 解約金が数億円になるのも普通。
つまり、
金額自体は「市場価値」から見れば決して異常ではない。
しかし、公的資金が絡んでいる以上、社会に対する説明責任は極めて大きい。刀側がもっと契約の中身を明示すれば、ここまで疑念が大きくならなかったのではと思います。
NewsPicksの報道の功績と課題
ここで重要なのが NewsPicks の役割です。
私はNewsPicksの報道姿勢を高く評価します。なぜなら、
- 公的資金の使い道をきちんと検証する
- 利益相反の可能性を指摘する
これはジャーナリズムとして当然で、社会的に極めて重要です。
しかし一方で感じたのは、
「市場価値とは何か」「コンサル契約の常識はどうか」
という部分への取材が不足していたのではないか
ということです。
批判だけで終わらせず、
- 森岡氏クラスのマーケターの単価相場
- 違約金が発生する契約の背景
- マーケティングと経営責任の線引き
まで掘り下げれば、より建設的な報道になったと思います。
丸亀製麺「失敗」批判は本質を見誤っている
丸亀製麺についても、
「森岡さんが関わったのに業績が伸びていないじゃないか」
という批判を耳にします。
しかしこれはマーケティングの本質を誤解しています。
マーケティングは、
「誰に、どのように売るか」の仕組みを作る仕事
であり、
利益を残すのは経営全体の責任
です。
たとえば丸亀うどん弁当は、
- 数百万食を売り上げたヒット商品
- コロナ禍で持ち帰り需要を支えた
しかし同時に、
- オペレーションが複雑化し
- 人件費負担が増大
これは経営全体の課題であり、森岡さん個人の責任ではありません。
売上が伸びたなら、マーケティングは成功と言えます。
利益をどう確保するかは、経営者が解決すべき問題なのです。
西武園ゆうえんちは「失敗」か?
西武園ゆうえんちも、しばしばこう批判されます。
- 入園料が高い
- 来園者が再び減った
しかし私はこう考えます。
ブランド再構築という意味では、西武園ゆうえんちは森岡さんの介入で大成功だった。
昭和の街並みという世界観は大きな話題を呼び、
- メディア露出は格段に増え
- 「行ってみたい」と思わせるブランドを作り上げた
これはマーケティングの大きな成果です。
ただし、
- テーマパークは運営フェーズが勝負
- 刀の支援は「立ち上げ」まで
- 現在は西武グループ単独の運営
リピーターを獲得するのは運営の責任であり、刀の責任ではありません。
USJの成功は「元々計画があっただけ」ではない
よく聞くのが、
「USJのハリーポッター誘致は、森岡さんが来る前から決まってたんじゃないか」
という声です。
確かに、
- ハリー・ポッターの誘致自体は森岡さんが着任する前から経営陣の中に構想はあった
- USJの経営再建も外資ファンドの大きな計画の一部だった
これは事実です。
しかし、
「誰に売るのか」「どんなメッセージで伝えるか」「投資の順番をどう決めるか」
これを徹底的に定義し、戦略を言語化して実行したのは森岡さん
ここが森岡さんの功績です。
- USJは「ファミリー向け」だと思われていたが、
- 森岡さんは「若い女性・大人層」こそターゲットと定義
- ハリー・ポッターを「大人女性に刺さる非日常」として演出
- 高単価戦略、行列マーケティングを導入
これこそが マーケティングの本質 であり、単に施設を作るだけでは絶対に成し得なかった成功だと思います。
結論:批判するなら、本質を学んでからにすべき
私が今回強く感じたのはこうです。
批判する人々は、まずマーケティングとは何かを学ぶべきです。
マーケティングとは、
✅ 「売る仕組みを作ること」
✅ 売上を最大化すること
✅ 経営全体の責任とは別次元
赤字は、単なる損失ではなく先行投資であることも多い。
そして、森岡さんや刀が取り組んでいるのは、
- 日本の未来を作る壮大な挑戦
- 短期的には赤字でも、長期的な国益につながる可能性
ということです。
もちろん刀側にも、
公的資金を使う以上、透明な説明責任が必要
これは絶対に守るべきルールです。
しかし、
- NewsPicksのように批判する側も、市場価値や業界慣行を学び、
- 数字の意味を理解した上で議論するべきだ
それが、批判が建設的になる唯一の道だと思います。
私の志
私がこの記事を書いた理由はただ一つ。
挑戦する人を、正しく評価できる社会を作りたいから。
刀や森岡毅氏の挑戦は、日本の未来に必要だと、私は本気で思っています。
そして、もし可能なら私は刀の一員として、その未来を一緒に作りたいと思っています。
未来をつくる挑戦を、正しく評価し、応援できる社会を、私たちの手で築きましょう
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